0. バージョン情報
- 規程名:AI利用規程
- 版:Ver.1.0
- 施行日:2026年02月28日
- 管掌:情報管理責任者(CISO相当)/法務・コンプライアンス責任者
- 適用:当社および当社が業務委託する者(本規程への同意を必須とする)
第1章 総則
第1条(目的)
本規程は、当社における生成AI・AIツールの利用を最大限促進しつつ、情報漏えい・法令違反・品質事故を防止することを目的とする。
第2条(適用範囲)
本規程は以下に適用する。
- 役員・従業員(正社員、契約社員、アルバイト、派遣)
- 業務委託先(個人・法人)※当社指定のAIアカウント利用・本規程同意を契約条件とする
- グループ会社のうち当社システム・情報を扱う者
第3条(定義)
- AI:生成AI(文章・画像・音声・動画・コード)およびそれに準ずる支援AI
- 会社指定AI(法人版):当社が指定し、管理者統制下にある法人契約アカウント(SSO/管理コンソール/利用ログ/共有制御が可能なもの)
- 個人AI:個人契約アカウント、無料版、個人の端末/ブラウザに紐づくAIアカウント
- 入力:プロンプト、ファイル添付、画像貼付、音声入力、API送信などAIに渡す行為全般
- 出力:AIが生成した文章・画像・コード・提案・翻訳・要約等
第2章 基本原則
第4条(基本原則)
- AIは「補助者」であり、最終判断・最終責任は利用者および承認者が負う。
- AI出力は未検証のドラフトとみなし、社外公開・意思決定・法令適合性は必ず人間が確認する。
- 当社は「公開基準ギリギリまでAIを使う」ことを許容するが、その代償として入力条件・審査条件を厳格に守る。
第3章 情報区分とAI入力許可(最重要)
第5条(情報区分:AI入力の可否を決める基準)
当社情報を以下の4区分とし、AI入力可否を定める。
区分A:公開情報(入力可)
- 既にWeb/SNS/プレス等で公表済み
- 公式配布済み資料
- 一般論・公開情報のみで構成できる内容
→ 個人AI:可 / 会社指定AI:可
区分B:公開予定情報(条件付きで入力可)
- 公開前のSNS案、LP案、商品説明案、企画案
- 公開前の社外発表資料の草案(数値・社名・固有情報の一部を伏せれば可)
→ 個人AI:不可 / 会社指定AI:可(条件あり)
区分C:社内限定情報(最大限使うが、匿名化必須)
- 社内手順、運用メモ、内部資料
- 未公開の売上の傾向(“割合/レンジ/指数化”なら可)
- 取引先・工場・委託先に関する情報(識別不能化が前提)
- 未公開製品仕様の一部(固有配合・仕入条件・原価の直出し不可)
→ 個人AI:不可 / 会社指定AI:可(匿名化・加工が必須)
区分D:高度機密(原則入力禁止)
- 個人情報(顧客/患者/従業員/採用候補)
- 医療情報・診療情報・相談内容(個別症例)
- 未公開の原価・仕入単価・利益率・契約条項の原文
- 未公開の研究データ/検査データの生値、COA原本、試験計画書
- THC規制対応に関する“検査機関の特定・判定ロジック・抜け道”に繋がる内容
- 秘密保持義務のある相手の機密(NDA対象)
- システムの脆弱性・アクセス情報(ID/PW/鍵/トークン/設定値)
→ 個人AI:禁止 / 会社指定AI:禁止(例外のみ)
第4章 「会社指定AI(法人版)」での入力許可条件(ギリギリ運用の中核)
第6条(会社指定AIのみ入力可能)
区分B/Cの情報をAIに入力する場合、会社指定AI(法人版)のみ許可する。
個人AI(無料版・個人契約)は、区分A以外 全面禁止。
第7条(会社指定AIで入力できる共通条件)
会社指定AIに区分B/C情報を入力する際は、以下の条件をすべて満たすこと。
- 学習利用されない契約であること(管理者が契約形態を確認済み)
- 共有設定が管理者により制御されていること
- 外部プラグイン・外部連携をOFF(許可リスト方式)
- 個人情報を含めない(後述の匿名化要件を満たす)
- 固有名詞を最小化(取引先名、工場名、人物名などは置換)
- 機密数値は加工(生値を入れない:レンジ化/指数化/比率化)
- 入力目的が業務上必要であること(遊び・検証目的は禁止)
- 出力の二次利用ルールを守る(第12条)
第8条(匿名化・加工の必須ルール:区分Cを使うための条件)
区分Cの入力は「公開基準ギリギリ」まで許可する代わりに、以下を必須とする。
- 取引先名 → 「取引先A」「OEM先B」
- 人名 → 「担当者X」
- 店舗名/場所 → 「都内店舗」「バンコク拠点」
- 売上/利益などの生値 →
- 指数化(例:2025年1月=100、以後の推移)
- レンジ(例:月商1,000〜1,500万円)
- 率(例:粗利率 35〜40%)
- 配合/製法の核心 → 入れない(“仕様の方向性”レベルまで)
- 契約条項原文 → 入れない(要点を箇条書き化した要約のみ)
第5章 例外取り扱い(区分Dをどうしても使う場合)
第9条(高度機密の例外)
区分Dは原則入力禁止とする。ただし、業務上不可避であり、以下を満たす場合に限り例外を認める。
- 管掌責任者(情報管理責任者+法務)による事前承認
- AIではなく、社内閉域環境の解析ツール等、別手段がないことの証明
- 入力対象が最小限であること
- 出力を含め、保存・共有・破棄の手順が明確であること
※現実的には「個別患者情報」「契約原文」は例外承認しない運用を推奨。
第6章 利用用途の許容範囲(最大限使う)
第10条(許容される利用)
- 企画・構成:企画案、ペルソナ、訴求仮説、構成案
- ライティング:記事/LP/SNSの草案(法令チェック前提)
- 翻訳:日↔英↔泰(機密は匿名化)
- 会議支援:アジェンダ、議事録整形(個人情報は削除)
- 分析支援:仮説立案、要因分解、チェックリスト化(生データ投入禁止)
- 開発:コード補助、テスト案、仕様の叩き台(鍵・設定値禁止)
第11条(禁止される利用)
- AI出力を検証なく社外公開(広告、商品ページ、SNS、PR、営業資料を含む)
- 医療効果・疾病治療の断定表現をAIに作らせ、そのまま使用
- 法律判断の最終結論をAIの出力で決める
- セキュリティ上の機微(脆弱性/侵入/鍵/トークン等)の入力
- 相手の機密情報をNDA無視で入力
第7章 表示・薬機法・医療関連の特別ルール(DropStone必須)
第12条(広告・表示物での必須プロセス)
以下はAI生成の利用前に必ず審査する。
対象:LP、EC商品ページ、同梱物、広告、SNS投稿、プレス、インフルエンサー向け台本、店頭POP
審査フロー(必須)
- 制作者がAI出力を「ドラフト」として作成
- **表示/薬機法チェック(社内チェックリスト)**を通す
- 必要に応じて法務・コンプラ責任者が承認
- 公開後、定期的にモニタリング
第13条(医療・カンナビノイド表現の禁止ライン)
以下の表現を、根拠・承認なしに作成/公開してはならない。
- 疾病の治療・予防・改善を断定する表現
- 医師の診断・処方に相当する誘導
- 効能効果を過度に保証する表現
- 研究結果の誤引用・出典不明の引用
※研究引用は「論文名/著者/年/ジャーナル/URL(社内保管)」が揃って初めて使用可。
第8章 出力物の取り扱い(漏えい事故の芽を潰す)
第14条(AI出力の取り扱い)
- AI出力は社内成果物として扱う(著作権・契約の定めに従う)
- 区分B/Cに基づく出力は、社外共有の前に機密除去を行う
- AI出力を外部委託先へ渡す場合、委託先にも本規程同等の遵守を課す
- 出力を顧客・患者に直接提示する場合、人間の説明責任が伴う
第15条(引用・出典)
- AIは誤情報を生成し得るため、数値・法令・研究・統計は一次情報で確認する
- 出典のないデータを「事実」として扱うことは禁止
第9章 アカウント・端末・ログ
第16条(アカウント管理)
- 会社指定AIは個人付与し、共有を禁止する
- SSO/2FAを必須とする
- 退職・契約終了時は直ちにアクセス権を剥奪する
第17条(ログ・監査)
当社は、情報漏えい防止のため、必要に応じて以下を実施できる。
- 利用ログの確認
- 共有設定の監査
- 重大インシデントの調査
第10章 インシデント対応
第18条(報告義務)
誤って区分D相当の情報を入力した、または漏えいの可能性がある場合、利用者は即時に上長および情報管理責任者へ報告する。
第19条(是正措置)
当社は状況に応じて、アクセス遮断、出力の回収、外部通報、取引先連絡、再発防止策を実施する。
第11章 教育・改定・罰則
第20条(教育)
当社は最低年1回、AI利用・情報分類・表示/薬機法の研修を実施する。
第21条(違反時)
規程違反があった場合、就業規則・契約に基づき、注意・懲戒・契約解除等を行う。重大な損害が生じた場合、損害賠償を請求することがある。
第22条(改定)
本規程は、法令改正・AIサービス仕様変更・事業状況に応じて改定する。
付録A:入力前チェック(区分B/Cを“ギリギリまで使う”ための10秒チェック)
次の全てに「はい」でない限り入力禁止。
- 会社指定AI(法人版)か?
- 個人情報・患者情報はゼロか?
- 取引先名・人名は置換したか?
- 生の数字(原価・単価・契約額・利益率の生値)は入れていないか?
- 契約原文・条項のコピー貼付はしていないか?
- 配合/製法の核心は抜いたか?
- 外部プラグイン/連携はOFFか?
- 目的は業務上必要か?
- 出力を検証できる体制があるか?
- 社外公開物なら表示/薬機法チェックを通す前提か?
付録B:匿名化テンプレ(コピペ用)
- 会社名:当社/グループ会社
- 取引先:取引先A/B
- OEM:製造委託先A
- 人名:担当者X
- 商品:製品A(カテゴリ:◯◯)
- 数字:指数化(基準月=100)、レンジ(◯〜◯)、比率(◯%)
付録C:AIで作ってよい文章の「安全な型」(広告・表現事故を減らす)
- 体感・個人差の明記:「感じ方には個人差があります」
- 機能・目的の限定:「リラックスをサポート」「生活習慣を整えるための選択肢」
- 断定回避:「〜が期待されます」「〜の可能性があります」
- 医療の分離:「医療的判断は医師へ相談」
付則
本規程は2026年02月28日より施行する。